個人・小資本情報発信概論

20世紀、僕は衆愚の中で付和雷同を強要され、それに同化する最大限の努力をした。コミュニズムの掟、それは偏差値で換算される人間の価値。少年の頃からその違和感を全面的に感じ取ってしまっていた。自らを差別化、記号化させる道へ。それは自らを「個」と認めることと、一つ一つの他者をすべて「個」として見る目を養うことに始まった・・・。

act.4 コンテンツプロバイダの方向性の確認

 KZIは長年、コンテンツプロバイダ制を取っている。いわば「丸投げ」。完全アウトソーシングの場合も、録音助言のみ参加の形態、及びガッチリ制作に携わる場合の3つの形態がある。いずれもコンテンツプロバイダ(パーソナリティ)との利害の一致及び目指す方向性の確認と双方の理解があってはじめてKZIのメディアリソースから発信されることになる。つまり、言葉が悪いが会ったことも無い方の番組を安請け合いで引き受けて流す、といったことは絶対無い。これが特徴といえる。

 では見るポイントはどこか?一にポテンシャルである。やりたい方向性が明確である。それに対して貪欲であること。これが最低限必要なことである。その道に対して取り組みがハンパではないことが絶対条件になってくる。また明確な方向性があれば作戦会議も立てやすい。ラジオ番組のパーソナリティというものはその道を目指すものの端的なプロモーションツールになりうると思う。録音・プラットフォームの機会を提供をしつつ、徐々に投資回収ともいうべきビジネス的リソースの確立を同時進行で進める。
 ラジオ自体は「認知」のための本人のプロモーションツールなのであるから、ここを源泉としているようでは心もとない。ネットラジオの中には安易なビジネスモデルとして課金制の番組供給をしている局をまれに見かけるが、先細りが見えているし、出演している本人のためには絶対ならない。タレントを短期スパンの商品としか見ていない、あまりポリシーの感じられないやり方だと思う。ラジオは広くご新規のそのパーソナリティのファンを捕まえる格好の媒体なのだ。そしてそこで心を捉えたファンに対して、付加価値的サービスを施す。これが絶対的にそのパーソナリティを活かす方法だ。有料にすればそのバーは確実に高くなる。「認知」していないタレントに対して誰がお金を払って番組を聞くというのか?つまり既知のファンに向けただけのものになってしまう。勿論ビジネスで運営している以上「既知」のファンがどれくらいいるかの数的把握は出来ていると思うが。タレント的にはあまりありがたくない話だ。

 プラットフォーム側としても「彼らになんとか成功してもらいたい!」という人間的感情が源泉にあるが、万が一の大成功の暁を期待している山師というかVC的な期待も無いとはいえない。というよりは一緒に夢見させてもらっている、といっていいだろう。いい加減な気持ちでやられればこちらの気持ちも萎えるだろうし、こちらがいい加減になってしまえばメディアに見切りをつけられてしまうだろう。
 何らかの形でお会いしたときにお互いの目指している方向性を確認する。あと多少の実績も。そして語り合う。「こんなことしたいんだよね」「こんなふうになりたいんだよね」「こういう部分では協力できるかもしれない!」「ここは一緒にやってみないか!」「力になれないかもしれないけど、うちを利用してくれ」こんな感じで話が進む。

 ひとつひとつの番組はそのコンテンツプロバイダが全力で番組を作り、周辺で別の仕掛け、プロジェクトをKZIが同時進行させる。新しい時代のインターネットラジオ及びコンテンツの製作のひとつの方法論を実践することによって提案していきたい。
 重要なことはコンテンツプロバイダの質が重要なこと。そのプラットフォームとのコンセプトが合っているか?などでコンテンツプロバイダの参加がそのメディア自体をカオスにしてしまう可能性があるということ。首都圏のコミュニティFMで引かれている「ボランティアスタッフ制」はその実例だろう。メディアのコンセプトを著しくカオスにし、なおかつクオリティダウンさせていたからなぁ。営業もままならないけど、外部スタッフの招聘の営業をしているところがほとんど無いので、こうした安易なやり方に流してしまう。我々の血税の一部がこうした放送部の延長のようなモチベーションの低いスタッフしかいないメディアに注がれている(3セクの場合)ことを知ったときは怒り心頭に発したね。行政も調査のインフラ持ってるんだったら、明確な聴取率にあわせてその局の営業力を計り、行政支援の額を決めてはどうだろうか。聴取率が高いのにスポンサーが取れない部分には援助してもいいと思うのだが、そもそも聞いている人がいないというのは制作スタッフの無力によるものなんだから。まぁ地域にグリップしている広告代理店とつるめれば聴取率とは無縁に広告費ゲットできるんだろうが、デフレのこの世の中じゃそんな甘い話もそうそうないだろう。