ミニFMを始める動機の中で結構多いのではないかと思われるのが、将来ラジオのパーソナリティになるための修行のひとつとして運営するという方々だ。その心意気や良しと思うし、実際の進行表に従って番組を進めるという行為はすごく勉強になるはずだ。
このあたりをミニFMの活動の柱に置きたい人は、「自己満足」で終わっては絶対いけない。近い将来、不特定多数を満足させるプログラムを自身実演しなければならないのだから。たゆまぬ努力をしたもののだけがプロとして食べて行ける厳しい世界だ。大体タレントをつかえばいいところを、なぜラジオ専門のパーソナリティ、ラジオタレントにまかせるかを考えていただきたい。当たり前の話、「聞いてて爽快」、「思わず聞きこんじゃう話し方」、「電話リスナーとのフレンドリーなコミュニケーション」…。どれもラジオタレントが他の追随を許さない才能の領域だ。こういったものはどうやって培われるか?最初地道な経験をいっぱい積んでいるからである。ラジオCMのナレーションなんてまだいいほうで、各種イベントで司会、博覧会でナレーターコンパニオン…。ホントはラジオやりたいんだけど表に出る仕事ばかり。ラジオのDJの名鑑みたいなものを見ると皆美男美女。表に出る仕事を違和感無くこなし、次のステップに進むまでの間、外見にコンプレックスを持っているようではとてもじゃないが務まらない。厳しいようだが、なるためには外見も相当重要だ。勿論ひとつ番組持っただけでは生計立てられないので当然平行してこれらの仕事を続けている人もいっぱいいる。こうした空間で人と接することによって、ラジオでの電話リスナーとのやり取りが、あのように異常なほどフレンドリーになれるのである。このあたりがパーソナリティになるための素養だろう。放送学校からラジオタレントを抱える事務所が素質のある人間と契約するのは50人に1、2人ぐらいのもんだろう。(勿論学校なんか行ってる人は高い月謝を厭わず、真剣に目指している人で、ある程度自分でもしゃべりに自信のある人たちばかりだ)フリーの実績の無い人間が、首都圏のFM局にデモテープを持って自己アピールしたとしても、採用される確率は限りなく0%に近い。(実際100人ぐらいの志願者が毎年飛び込みで来る局もあるそうだ)まぁ、今はコミュニティFMみたいなメディアもあるので、とにかくラジオでしゃべってみたいという人は、まずそういうメディアで始めてみたらどうだろう。それで自分の力を確かめてみるというのもいいかもしれない。もっともそこに入ちゃって、変に居心地が良くなると上に行くのはまたまた難しくなるが…。この点アメリカは力あるDJは以外と活発にスカウトされていくようで、この辺りは規制の少ないアメリカらしい話だ。
結論としてミニFMから上を目指すのは難しい。注目されるミニFM局をまず作らないと皆さんの夢に答えることは多分出来ない。それでも地道なトレーニングをしなければ勿論なれない。
最後になりたいと思っている方々にエールを送る意味でも、ミニFMから大手FM局のパーソナリティになったという人々を紹介しよう。札幌の「NORTH WAVE」で番組を担当している古家正亨さん、この人は小学校3年から高校2年生までミニFMを続け、大手FM局にデモを送り才能と情熱を買われて夢を成就させた。又大学時代、花博ミニFMでDJを担当して道を開いた神戸のKiss−FMでパーソナリティを務める池田奈美子さん。こうした人たちもいるので、頑張ってもらいたい。